金属プレス加工は塑性加工の一種!プレス加工の主な分類方法について解説
金属プレス加工は、金属などの被加工材に金型を押し付けて成形する塑性加工の一種です。具体的には、金型のパンチとダイを用いて、せん断加工、曲げ加工、絞り加工などを行います。この技術は低コストで大量生産が可能で、製品の強度も高いというメリットがあります。
こちらでは、プレス加工の基本概念とその分類方法について解説します。自動車部品や家電製品など、多岐にわたる分野で活用されるプレス加工の詳細を理解することで、製品開発や製造プロセスにおける効率化や品質向上に役立つ情報を提供します。
金属プレス加工は塑性加工の一種
金属などの被加工材に金型を押し付けて成形する加工法
プレス加工とは、金属などの被加工材に金型を押し付けて、塑性変形させることで所定の形状に成形する加工法です。
被加工材の板材に、金型のパンチ(上型)とダイ(下型)を押し付けて、以下のような加工を行います。
- せん断加工(切る)
- 曲げ加工(曲げる)
- 絞り加工(絞る)
このように、プレス加工では金型による塑性変形を利用して、効率的に大量生産が可能となります。
塑性加工の一種で、材料の変形を利用して形状を作る
プレス加工は塑性加工の一種で、被加工材の塑性変形を利用して金型と呼ばれる型に被加工材を押し付け、型の形状に合わせて材料を変形させる加工方法です。
被加工材を金型に押し付ける際は、高い圧力をかけますが、これにより材料は塑性変形を起こし、金型の形状に合わせて変形します。このように、材料の変形を利用して所定の形状に加工していきます。
この加工方法は、低コストで大量生産が可能であり、製品の強度も高いというメリットがあります。
様々な形状を作るプレス加工の分類
自動車部品や家電製品など、幅広い分野で活用されているプレス加工には、加工方法による分類と加工ラインの方式による分類の2つの分類方法があります。
加工方法による分類
プレス加工は、加工方法によっていくつかの種類に分類されます。
せん断加工(打ち抜き、打ち抜き曲げ、トリミングなど)
せん断加工は、被加工材から特定の形状を切り離す加工方法です。せん断加工の一種である「打ち抜き加工」は、基本的な加工方法です。外形抜きやブランク加工とも呼ばれ、製品加工の初工程に含まれることが多いです。単純な形状から複雑な形状まで打ち抜き型で加工されます。曲げ加工時の材料の延びを考慮し、最適なブランク形状を決める場合もあります。
「穴抜き加工」は、被加工材に穴を抜く加工で、丸形や四角、楕円、異形形状などの穴抜き型で加工します。
「切り込み加工」は、ワークにパンチが入り切断され、さらに曲げられ部分的に材料が起こされる加工です。
「トリミング(縁切り)加工」は、絞り加工後に不要な縁部を切断する仕上げ加工で、その金型を縁切り型と呼びます。
曲げ加工(ベンディング)
曲げ加工(ベンディング)は、素材を特定の形状に曲げる加工方法です。完成する形状は、上金型と下金型の形状によって決まります。曲げ加工には、以下のような方法があります。
【ロール曲げ】
ローラーの間に素材を通して曲げる方法
【板折り曲げ】
素材の一方を固定し、支点を中心に90度回転する板を使って曲げる方法
曲げ加工で得られる形状には、「V形」「U形」「L形」「Z形」などがあります。この加工方法では素材を切断しないため、曲げた部分に弾性が残り、元の形に戻ろうとする「スプリングバック」という現象が発生します。正確な加工を行うためには、この現象を考慮した計算が必要です。
絞り加工
絞り加工とは、金属の薄板から円筒や角筒、円すい形状などの底付き容器を作る加工法です。絞り加工は深さによって以下のように分類されます。
- 浅絞り加工
- 深絞り加工
絞り加工は難易度が高く、金型・機械・加工条件などのバランスが重要視されます。限界絞り比を超えると、しわやひずみ、割れが発生しがちです。
複雑な形状には特殊な加工法も用いられ、温間成形法や対向液圧成形法などがあります。
鍛造加工(冷間鍛造)
鍛造加工の中でも冷間鍛造は、常温の被加工材に対して行う加工方法です。
まず目的の形状に合わせて金型を設計・製作します。CAE解析ソフトや3DCADを用いて金型形状や寸法を検討し、試作金型を経て量産用の金型を完成させます。
完成した金型をコールドヘッダーなどの冷間圧造機に取り付け、材料を流して成形を行います。比較的単純な形状の場合は2~3工程、複雑形状では多工程での加工となります。
冷間鍛造の強みは、常温のため寸法変化が少なく高精度が出せる、ニアネットシェイプあるいはネットシェイプでコストダウンと製造リードタイム短縮を実現できる、という点にあります。一方で形状の自由度が低く、大物加工には向きません。
加工ライン方式による分類
プレス加工には、加工ライン方式によっても分類があります。
単発プレス
単発プレスは、被加工材を手作業でプレス機にセットし、加工後も手作業で取り出す方式です。このプレス加工技術は最もオーソドックスで、大型加工品の少量生産に適しています。単発プレスは一度のプレスで一つの加工を行うため、連続加工はできません。しかし、プレス機や金型のコストが低いため、初期費用を抑えることができるという利点があります。
順送プレス
順送プレス加工では、一つの金型内に複数の工程が配置された「順送金型」を用います。材料をピッチ分ずつ順次送りながら、複数の工程を無人で連続的に行うことができます。そのため、大量生産品には順送加工がよく使われます。
また、順送加工で使用される金型は単発金型よりも高価ですが、単発型が一つの工程しか行えないのに対し、順送金型は複数の工程を一度に行えるため、多くの工程が必要な場合には順送金型が選ばれることが多いです。ただし金型自体が大型で複雑な構造となるため、製造費用が高価になるデメリットもあります。
トランスファープレス
トランスファープレスは、順送プレスに次いで生産性の高いプレスライン方式です。製品の形状の自由度が高く、深絞り加工にも適しています。
複数の工程を連ねて加工する点は順送プレスと同様ですが、各工程は単独の工程となり、1サイクルが終わると製品を次の工程へ自動で移動させます。そのため、製品を送るための専用の搬送機構が搭載されています。
トランスファープレス用の金型設計では、金型を一定ピッチで配置し、ダイハイトを統一する必要があります。また、工程間の荷重バランスを取りながら加工する高度な技術力が求められます。
タンデムプレス
タンデムプレスとは、単発プレスを複数台並べた製造ラインのことを指します。プレス機1台ずつプレス金型をセットし、搬送装置で加工品を次々と移動させながら各プレス機で1工程ずつ加工を行う仕組みです。
搬送装置には汎用ロボットや専用の搬送装置、ガントリーローダーなどが使われます。適した用途は、加工工程数が少なく単純形状の製品の少量多品種生産や、大物加工などです。トランスファープレスほどの高い生産性は望めませんが、金型の入れ替えなどフレキシブルな調整が可能です。
金属プレス加工のご依頼は有限会社上田製作所へ
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金属プレス加工・塑性加工は有限会社上田製作所
会社名 | 有限会社上田製作所 |
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設立 | 1969年 |
主な業務内容 | 自動車部品の製造および線材加工 |
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